冷凍魚 水野るり子 [詩作品]
冷凍魚
魚は一匹ずつで悲しんでいる
早春の塩の浜辺にひきあげられ
塔のように倒される海の魚
しなやかなその喉のところまで
行き場のない海があふれてきて
やがてそのまま凍りついていく長い時間
かつて魚を許してくれた
あの水の限りないやさしさが
いまは不思議な残酷さとなって
魚の全身を
容赦なくしめつけてくる
そうして
魚はあえぎながら
少しずつ
内側から啞になっていく
魚は一匹ずつで悲しんでいる
早春の塩の浜辺にひきあげられ
塔のように倒される海の魚
しなやかなその喉のところまで
行き場のない海があふれてきて
やがてそのまま凍りついていく長い時間
かつて魚を許してくれた
あの水の限りないやさしさが
いまは不思議な残酷さとなって
魚の全身を
容赦なくしめつけてくる
そうして
魚はあえぎながら
少しずつ
内側から啞になっていく
コメント 0