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ささやかなこと [日々のキルト]

先日土曜美術社から新・現代詩文庫が出版された。
たくさんの方からお手紙をいただいて有り難いことと思っています。

未刊詩篇の項目の冒頭に、「死んだ犬に」という詩を置いた。詩みたいなものを意識して
書き始めたのは、どうもこの詩あたりがきっかけだったような気がする。(日記みたいな
詩はずっと書いていたけれど)。この詩はナイーブな詩で恥ずかしいが、死んだペルに敬意
を表してどうしても入れたかった。

ペル(迷い犬の野良)は真っ白い犬だと思ったが、洗ってみたら、横っ腹に薄いベージュ色
の斑点が一つ浮き上がってきたので、はじめは真珠を意味する《ペルル》にしようかと思っ
ていたが,一字減らして「ペル」にした。

その頃家は埼玉県の新開地だったので、家の前は麦畑やイモ畑が広がっていた。夜だけ
放してやった時、ペルは嬉しそうに駆けまわり、畑に撒かれた農薬団子にでもあたったのか、
夜明けに犬小屋の前に横たわってひっそり死んでいた。悲しくて、押し入れに隠れて泣いた。
ちょうど月遅れのお盆の日だった。太陽がぎらぎらする真夏だった。

ちょうどペルが苦しんでいた夜明け前、私は夢の中に立って、色とりどりの松葉ボタンの花々を
見ていた。なぜか忘れられない。もう何十年も前のことだけれど。


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秋の花の写真 [日々のキルト]

CIMG0159.JPG


秋の花々の写真です。二日前の写真ですが、ススキの穂がもうほわほわと開いています。

今、台風が近づいていますが、箱根、仙石原のススキ野を見たくなりました。
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秋の花 [日々のキルト]

とつぜん、昨日、秋の野の花々が友人から届けられて、我が家に涼しい秋風が吹いてきてくれた。
吾亦紅、女郎花、ホトトギス、リンドウ、野菊、そしてひときわ高くススキの穂が揺れているのは
音楽みたいにすてきだ。都会の真ん中で、秋の花々とお月見ができそう。

それで今日は「感傷的な草むら」という詩を書いた。

そうだ、あとで写真にしてみよう。
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ハーメルンの笛吹き男 [日々のキルト]

オペラ「ハーメルンの笛吹き男」を見た。世界初演。作曲・¨一柳慧、台本・田尾下 哲、長屋晃一。
第19回神奈川国際芸術フェスティバルの公演だった。

私はかつて何人かの仲間たちと「ハーメルンの会」というのをつくっていて、詩誌というか、同人誌みたいなものを出していたこともあり、なぜか”ハーメルンの子どもたち”の伝悦には特に惹かれるものがあるので、とにかく見に行ったわけだった。

でもはじめからそんなに期待していたわけではなかったのに、だんだん引き込まれて、ついにはさかんに拍手している自分がいた!

台本は原作の伝説とは、終わりの部分が変わっていて、130人もの子どもが突然消えたというショッキングな結末は、町の大人たちや政治家たちの小賢しい分別にまさる子どもの純粋さが輝かしく
歌いあげられるものだった。それはだが、この時代への大きな批評や救いともなっていて、客たちに解放感与えてくれる気がした。

笛吹き男を演じた岡本知高(ソプラニスタ)の歌声もすばらしかったし、なぜか取り残された一人の子の口笛による演奏にも心奪われた。

しかし一番心に刻まれたのは、モーツアルトの子守唄の調べだった。それは笛吹き男が子どもたちをさらっていくときに歌う調べだった。ここにモーツアルトのこの曲を挿入した技術はさすがだと思った。のびのびと、優しく、子どもたちを夢という異界へ誘い込み、夢の中に解放して、自由に遊ばせる…さあ、この入口のドアをひらいてお入り…と。

大人たちは言葉を操ることで、分別を得て、夢と遊びを忘れ、自らをもう一つの檻に閉じ込めてしまうのかもしれない。

ある研究者が「モーツアルトはアルファベットの読み書きよりもはるかに早く音符の書き方に精通してしまい、言語より先に音楽に浸りきって、大人の分別とは別の能力を発達させすぎてしまった。…モーツアルトはついに大人の分別をうまく獲得できず、未成熟な子供っぽさを生涯抱えていた存在ともみなすことができる。それがモーツアルトならではの音楽を生み出す原動力でもあり続けたのではないか。」と述べているという。

そういうモーツアルト像と、笛の響きで子どもたちと共鳴し、彼らをたちまち異界へ連れて行ってしまうハーメルンの笛吹き男の姿はどうしてもダブって見える。このオペラが特にモーツアルト的なものと結びつくのには、ひとつの理路があると思う。と音楽評論家の片山杜秀氏は書いている。

なんだか途中からモーツアルト頌になってしまったが、今でもあの笛吹き男の歌ったモーツアルト
の調べが耳の中にしばしばこだましてくる。

さてハーメルンンの笛吹き伝説とは、この世界にとって、何を意味しているのだろうか。これが自分への問いのようにくりかえし聞こえてくる。


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木を植える [日々のキルト]

木を植える、というイメージは詩のなかによく登場する。そして印象に残る詩が多い。

東北の一本松は、残念ながら切り倒されて、人工的に形を再生され、記念樹としてもとに
戻されるという。けなげな松の木のイメージは世紀をこえて人々の記憶から消えないといい。

昨日、自分の若いころの日記を読んでいたら、一本の木として、自分自身を植える土地
を見つけたい…という言葉があった。まだそんな場所を見つけていないけれど。ちょっと
おもしろいなと思った。

ところで、だれでも心の中に懐かしい…あるいは忘れられない…一本の木を持っているのでは
ないか。私は子供のころ住んでいた家の二階の窓辺に枝を伸ばしていた(お隣さんの庭の隅
に立っていた?)一本のひのきのことが忘れられない。二階の窓際から手を伸ばして、小さな
実を取った思い出がある。木全体でなく、梢の先っぽと親しかっただけかも。
でも不思議によくその木を思い出す。身近にいた木の親友みたいなものだったかも。

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夜ひらくサボテンの花 [日々のキルト]

先日サボテンの花について書きましたが、少し観察が足りませんでした。
今日二つ目の花がさいたのですが、なんとひらきはじめたのは昨夜の9時ころ。
半月の下で、10時ころには、もう先端が2センチくらいひらいていました。
一晩中見ているわけにもいかなくて、今朝早起きして、4時過ぎに見に行ったら
すでに満開。この花は夜中に咲くんですね。でも花の盛りは短くて、朝の6時には
もうつぼみはじめて、7時にはほとんど閉じてしまいました。この間の花は、朝に
なって、気が付いたので、2時間の寿命かと思ったのですが…、実は夜通し咲い
ていたんですね。

ペルーの自然の中で、この丈高いサボテンの群れの花盛りをみたらすてきだろうな
と思いました。向こうでは魔除けに庭に植えるとか、食べると幻覚作用があるといわ
れるのも、なるほどという雰囲気です。「魔」は夜のうちに近づいてきそうなので。
以上、間違いの訂正です。

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サボテンの花 [日々のキルト]

CIMG0133.JPG
8月13日の朝に、突然柱サボテンの花が咲いた。買ってから10数年、ただ、どんどん伸びるだけ
の無用の?長物みたいで、ついに天井につかえてしまい、この春からルーフバルコニーに出しっぱなしにしておいた。(富士山と向かい合って)。それがかえってよかったのか、この10日ほど、つぼみみたいなのが7つものびてきて(ゴクリみたい!)どうなったのだろうと思っていたら、昨日の明け方突然に大きな花が一輪開いた。あまりに素晴らしい花なので、これにはびっくり!たくさんの白い花びらのまわりに、えんじ色の花びらの縁取り、花は直径10センチ以上ありそう。

ところが、ところが。2時間もしないうちに、急に花びらが閉じてきて、あっという間にしぼんでしまった。まったく夢まぼろしのごとくなり、という感じ。花の寿命は2時間足らず?

茎は2メートルくらいの高さ。本で見ると《セレウス・バルビアナス》通称サンペデロという南米原産
のサボテンに似ている。7つもつぼみがついたのに咲いたのはこの一輪、あとはみな落下してしまった。その気配もないところに、いきなり咲いて、瞬時に消えてしまう花というのは、なんて強烈なんだろう。ひとみたいに何か言葉をもっているような気がするのです。
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花火 [日々のキルト]

今日は神奈川新聞の花火大会だった。みなとみらいの空に盛大にひらく花火をベランダから
眺めた。花火には人の気持ちをわくわくさせるものがある。が、最後の花火が夜空に消えた瞬間の
寂しさも毎年変わらない。

前にも書いたけれど、ヘッセの『クヌルプ』の言葉がまたよみがえってくる。
(至高の美しさというものは、いつも、人がそれに触れたときに、歓びの感情のほかに、悲哀や
不安の念を抱かせるものだ)という。逆に言えば不安という裏打ちあってこそ、喜びも深く、強い
ということか。喜悦と不安、この二つの感情は引き離すことができない。ヘッセはこの美の
象徴として《花火》と《少女》という存在を挙げ、やがて消えゆく存在であるゆえに、それらの
美しさがひとの心をひきつけてやまないという。心とは不思議なものだと、花火を見るたびに
この言葉を思い出す。

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ヴァシュリ通信 [日々のキルト]

中断していた高橋茅香子さんのホームページ(ヴァシュリ通信)がカムバックしたとのお知らせ
があり、このところ毎日愉しみに拝見している。98文字日記もさりげない軽みがあって,盛夏に
涼しい小窓を開ける気分。あ、お元気なんだな…と思いつつ。
ちなみにヴァシュリとはグルジア語でリンゴの意味だそうです。
              

          
               ’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’’


こちらのベランダには高気圧が毎日座りこんで、伸びをしていて、草花たちはしょげています。
鬼百合の花は楽屋に引っこみ、次はまっしろい山百合の出番みたいです。


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象と雅楽 [日々のキルト]

今朝テレビで、雅楽演奏家である東儀秀樹出演の「タイへの旅」を見た。タイは彼が幼い日にそこに住み、故郷のような場所なのだという。その地で憧れだった象使いの修行をしてみたいという。

タイの人々と象との関わりは親密で、地雷で傷ついたり、心を病んだりしている象たちも収容されていたが、その扱い方にも象使いのプロとして、また同じ生き物同士としての深い心配りを感じさせる
ものがあった。

どうにか受け持ちの一頭の象の扱いに慣れてきた彼は、一番大事なのは象に対する心の持ち方
なのだとわかったという。其の象に対する心からの愛なのだとしか思えない。象は賢く忍耐強い
動物らしい。

興味深かったのは彼が屋外の自然の中で「笙」を吹いたとき、一頭の象が遠くから近づいてきて、じっと耳を傾けたあとで、さらに近寄って、その楽器に鼻を絡めるしぐさを見せたことだった。笙の
音色は(あるいはある音楽は)象の気持ちを揺り動かす何かをひめているのだろうか。
象は超低周波音で会話するというが、それとのかかわりはあるのだろうか。

人間は自分たちのことにかまけすぎているうちに、周辺の未知の領域の不思議に想像力が
及ばなくなっているかも。



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